岡崎体育と市場経済、あるいはファンの分断

岡崎体育がbitfanというサービスを導入して話題を呼んでいるので、思っていることを書く。

 

いちばん好きな曲はこれ。ちょうかっこいいよね。

 

www.youtube.com

 

岡崎体育のブログはこちら。 

taiiku-cawaii-japan.hatenablog.com

 

 

 

岡崎体育の「本当はファン全員にサービスを受けてほしいが、どうしても限界がある。だから選民をしなければいけない。ミュージシャンはファンからお金をもらわないと生きていけないので、ランダムで選民するのではなく、お金を多く払ってくれたファンに少しだけオマケしたい」という主張に、私は賛成する。

「お金のない人や小中学生を差別している」との批判もあるようだが、自分の生活を直接的に支えてくれているファンに+αのお返しをするのは何ら問題のない行為に思える。

しかし、その「選民」の方法については、手放しで賛同することができなかった。

 

 

岡崎体育のライブはいつも工夫に富んでいて面白く、彼のことをあまり知らなくても楽しめるものとなっている。だからライブに友人を気軽に誘いやすいし、知人が岡崎体育のファンだと聞くとテンションも上がる。

好きなアーティストが同じなら親近感が湧くのは当然だと思うかもしれないが、そんなことはない。これが椎名林檎Cocco鬼束ちひろなら「あぁ、この人は私と同じようにある種の不健全さを隠し持った人なのかな」と軽い忌避感を覚えることがあるし、「あのバンドは歌詞がいいよね」「え、メロディーが好きなんだけど」と共通項を見出せない場合もある。しかし、「岡崎体育が好き」と言う人は十中八九、彼を「面白い」と思っている。だから、岡崎体育のファンだと知っただけでぐっと距離が縮まったような気分になるのだ。

 

 

今回、私が賛同できなかったのはbitfanの評価システムが不透明なところだった。

会員ランクは上から順に、

ワニ革

サメ革

ヒツジ革

牛革

合皮

塩ビ

となっている。

 

この基準が非公開なのだ。

基準は非公開ではあるが、次のツアーで会員ランクが「ワニ革」または「サメ革」の人は、楽屋に招待されるのだという。

もちろん楽屋に何百人も何千人も招待はできないだろうから、「ワニ革」「サメ革」ランクの上限人数は決まっているのだろう。そして、その枠に入ろうとファンが競いあうことになると推測される。

しかし、何をすればポイントが貯まるか、また何ポイント貯まるのかも非公表とされている。

これではいたずらに競争を煽るばかりではないか。

 

岡崎体育は「bitfanはあくまでオマケのようなもので、『今まで通り普通に応援してたらポイントが貯まって一緒に写真を撮ってもらえた!ラッキー!』くらいの気持ちで捉えてくれれば」と書いていた。

しかし、この尺度は彼の言葉を借りれば「相対的な」評価システムである。

相対評価では常に周りとの差が問題になるため、「1000ポイント貯まったから写真が撮れたよ!」という絶対評価とは話が違うのだ。

 

 

私は、これによってファンの共有していた妙な一体感が薄れてしまうのが嫌だ。

ファンを分断しないでほしい。ファンは岡崎体育が好きで、その気持ちを同じくしているほかのファンのことも好きなのだ。

 

 

確かにこの手法はビジネスとしては多くの利益を上げることができるのかもしれない。しかし彼の言うように「ビジネスマンとしてではなくミュージシャンとして」決断するなら、ほかの方法もあったのでは、と思う。

 

例えば今回、岡崎体育が「ファンクラブをクラス分けします!ブタさんクラスは年会費100万円!ウサギさんクラスは10万円!キツネさんクラスは1万円!ゾウさんクラスは1000円!クラスによって+αの特典が付きます!ブタさんクラスのみんなには、抽選で楽屋招待チケットをプレゼント!ちなみにワニさんは仲間に入れてあげません!」と発表していたら、どうだったろうか。

こちらも同じようにランク付けを行っているが、明瞭な絶対評価システムを採用している。これなら、ファンはだいしゅうごうだわいわいしていたかもしれない。 

 

 

今回導入されたシステムは、本当にみんなでたのしくうんぱっぱのぶんぶんできる方法なのだろうか。